家具の木部には、木を保護し美しく保つため塗装がされています。
主流のウレタン塗装をはじめ様々ありますが、それぞれに良いところと家具の扱いに配慮が必要になるところがあります。
下記の表にまとめてみましたが、今回は代表的なウレタン塗装・ラッカー塗装・オイル仕上げ・ソープフィニッシュについて、それぞれメリット・デメリット・お手入れ・塗り替えに着目してまいります。
ウレタン | ラッカー | オイル | ソープ | |
汚れ、傷などへの耐久性 | ◎ | ○ | △ | △ |
木の素材感 | △ | ○ | ◎ | ◎ |
お手入れの簡単さ | ◎ | ○ | △ | △ |
塗り替えの手軽さ | × | △ | ○ | ◎ |
1.それぞれの塗装の主な特徴
2.メリット
3.デメリット
4.お手入れ、塗り替え
1.それぞれの塗装の主な特徴
・ウレタン塗装
ウレタン樹脂(プラスチック)の薄い塗装で表面を覆うもので、世界で一番多く用いられています。
耐久性を重視し、手軽にお手入れしたい方にお勧めです。
・ラッカー
木材の主成分を変化させたものに樹脂を添加したもので、耐久性・質感ともにウレタンとオイルの中間の感覚です。
・オイル
木の内部の細胞にオイルを浸透させ保護します。
木の素材感を大切にされる方で、塗り替えのメンテンスが可能な方にお勧めです。
・ソープ
石鹸水で汚れを落とすと同時に、石鹸の脂肪分で表面に薄い皮膜ができ汚れを防ぎます。
日本では家具は一代でしか使用しない場合が多いですが、代々受け継ぐためこまめに手入れをする文化のある北欧では一般的な手法です。
木の素材感を出したい方で、手をかけることを楽しめる方にお勧めです。
2.メリット
・ウレタン塗装
熱・水分・摩擦・汚れ・傷などに強く、他の塗装よりも長持ちします。
・ラッカー塗装
ウレタン塗装よりも木の質感が出て、オイル仕上げよりも耐久性があります。
・オイル仕上げ
少ししっとりした肌触りで自然な光沢が得られ、濡れ色に仕上がります。
本来木が持つ色味や木目が浮かび上がり、使い込むと深みのある風合いになります。
・ソープフィニッシュ
無塗装に近く自然のままの木肌・色・質感を楽しめます。
3.デメリット
・ウレタン塗装
手触りがツルツルし光沢が出て、木の素材感はやや損なわれます。
・ラッカー塗装
ウレタン塗装よりも水・熱・汚れなどに弱く、オイル仕上げよりも木の質感が出ません。
・オイル仕上げ
水分に弱くコップの跡などがつきやすいので、コースターを使うなど配慮が必要です。
・ソープフィニッシュ
完全に膜で覆うわけではないので、汚れ・水分・直射日光・熱などの刺激に敏感です。
4.お手入れ、塗り替え
・ウレタン塗装、ラッカー塗装
基本的に乾拭きで、汚れがひどい場合は『中性洗剤を固く絞った布巾→水拭き→乾拭き』または『水拭き→乾拭き』という具合で、最後は必ず乾拭きします。
塗り替えは工場で行なうことが多く個人では難しいです。
・オイル仕上げ
基本的にこちらも柔らかい布で乾拭きします。
汚れがひどい場合は『石鹸液を固く絞った布巾→固く絞った水拭き→乾拭き』または『水拭き→乾拭き』です。
塗り替えは半年~年に1回程ですが、最初は月に1回のメンテを2~3年続けると塗れたような飴色になり簡単に変色しなくなります。
・ソープフィニッシュ
『硬く絞った水拭き→タオルかスポンジで石鹸液を木目方向に拭く→乾拭き→乾燥→#400以上のサンドペーパーで研磨』と、繰り返しソープ仕上げをすると木肌に石鹸の油脂が染みこみ汚れにくくなります。
先日うかがった浜松市内の飲食店のテーブルがホワイトアッシュのソープフィニッシュでした。
空間づくりへのこだわりを感じますね。
(申し訳ないことにオリーブオイルを垂らして跡をつくってしまいました)
リビングサーラで扱う商品も一般的に主流であるウレタン塗装のものが多いですが、家具によっては他の仕上げを選べるものもございます。
お好みの質感やライフスタイルに合った塗装を選ぶと、家具のある生活を一層楽しめそうです。
浜松ショールーム 鈴木紫帆